6/23(土)『子どもが教えてくれたこと』上映後Q&Aレポート

子どもが教えてくれたこと

6/23(土)『子どもが教えてくれたこと』上映後Q&Aレポート

ゲスト:アンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン
モデレーター:佐藤久理子

アンブル、カミーユ、イマド、シャルル、テュデュアルの5人の子どもたち。彼らに共通するのは、みな病気を患っているということ。治療を続けながらも、毎日を精一杯生きている子どもたちを描き、大ヒットしたドキュメンタリーが本作『子どもが教えてくれたこと』だ。フランス映画祭 2018での上映後、監督のアンヌ=ドフィーヌ・ジュリアンが登壇し、観客とのQ&Aを行なった。

ジャーナリストから映画監督デビューをされたわけですが、なぜ本作を映画として撮ろうと思われたのでしょう?

私は実生活でも映画に出て来た少女と同じ異染性白質ジストロフィー(MLD)を発症した娘を持っています。もちろん辛いことも多くありましたが、新しい発見も多かったのです。その発見をみなさんと共有したいという思いで作りました。子どもたちがどういう風に人生を見つめているのか、子どもたちが語る映画を撮りたかったのです。

5人の子どもたちは、みんな年齢も住んでいる環境も違いますよね。どうやって出会ったのですか?

子どもをキャスティングするのは、とっても繊細さを必要とする仕事です。全国を回って医療スタッフや関係団体と会い、様々な話を伺いました。特に注意を払ったのは、子どもたちがどういう個性を持っているのか?ということです。そのためにリサーチを重ね、最終的に5人の子どもたちを選びました。

とても心を打たれる映画でした。子どもたちのつぶやきを丁寧に拾い上げていて、その感情がヒリヒリするくらいに伝わって来ました。タイトルについて聞きたいのですが、邦題と原題は大分ニュアンスが違いますよね。元のタイトルの意味と、日本語のタイトルをつけた意図を教えてください。

原題「Et les mistrals gagnants(ミストラル・ガニャン)」は、フランスの有名な歌にちなんでつけたものです。とても愛されている曲のひとつで、ルノーという男性歌手が娘のために書いた歌です。「mistrals」というのはフランスの駄菓子のボンボンのことですね。歌の内容は、「君の子ども時代をずっと覚えておきなさいね」というものです。子どもたちにはまだ分からないけど、人生は辛いことや大変なこともたくさんあるかもしれない。だけど、その瞬間、瞬間を楽しむことでそれを乗り越えられるんだよ、というメッセージが込められています。まさに、私がこの映画でみなさんに伝えたかったことです。
でも、日本ではこの歌はあまり知られていません。それで邦題を新たに考えたのです。日本語のタイトルは、日本の配給会社さんと細かく相談をして決めました。私はとても気に入っています。「教える」というと、普通は大人が子どもに教えると思いがちですよね?でも、本当は私たちのほうが多くのレッスンを受けていると思います。

自分のお子さんと同じ境遇の子どもを撮ることは、辛いことではありませんでしたか?

私がこの作品を撮りたいと思ったのは、病気の子どもを持ったことで発見したことを、みなさんとシェアしたかったからです。撮影の最中、自分の子を思い出して万感胸に迫ることも多々ありました。でも、辛い境遇にいながらも、子どもたちの陽気さと前向きさに、私だけでなくスタッフも全員感動していたのです。厳しいことに向き合う題材の作品ですが、それを乗り越える唯一の方法は、子どもたちとともに、今この瞬間を生きる、ということでした。みなさんにも映画を観て、人生というものは生きる価値のあるものなんだ、ということを感じ取っていただけたら嬉しいです。

映画を作る上での苦労を教えてください。

実は、お金の面での苦労はなかったんです。エンドクレジットに出ていたように、1,758名もの大勢の方々が映画をクラウドファンディングで支援してくさいました。全員にありがとう、という感謝の気持ちでいっぱいです。

中にはお涙頂戴の映画になるんじゃないかと心配していた人もいるかもしれません。でも、子どもたちの目線からの映画を撮ろうとすると、自然とポジティブな視点になるんですよね。泣いていたかと思うと笑ったり、瞬間を精一杯生きている。それに、子どもたちのほうが、私たち大人をリードしてくれた現場でした。例えば、ある男の子の入浴シーンを、はじめ私は「撮るのは悪いな」と思ったので、「もし嫌なら撮らなくて大丈夫だからね」と伝えたら、「ぼくの入浴シーンを撮らないのなら、ぼくの日常を撮る意味はないよ」と言われてしまいました。子どもたちは現実にフィルターをかけずに、しっかりと受け止める。そんな彼らから多くのパワーをもらいました。

子どもたちから珠玉のような言葉がたくさん出て来ます。彼らを撮影する上での苦労はなんですか?また、どうやって子どもたちから言葉を引き出したのですか?

子どもたちはよく走るので、追いかけるのが大変でした。私はいつもハイヒールを履きますから(笑)。
中には当然、話をしたがらない子もいました。明らかに心を閉じた感じだったので、「何か気に入らないことでもあるの?」とたずねました。そうすると彼は「ぼくたちは、何もしないで話なんてできないんだよ。ぼくのお庭に行こう」と誘ってくれたんです。そうして自分の庭で、とてもデリケートな手つきで花や草に触れながら、驚くような言葉を口にするんですね。その経験から学んだのは、「大人は子どもと接するときに何かを期待してはいけない」ということです。大人にできるのは、スタンバイしておく姿勢、子どもを受け止める準備をしておく、ということです。だから私は本作で脚本も1行も書いていません。でも、結果として想像していた以上の収穫を得ることができました。

子どもが教えてくれたこと』は、7月14日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開

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