レポート

【レポート】6/26 『パレス・ダウン』

FFF Japon2016_Taj Mahal_QAsession photo 26月26日(日)、TOHOシネマズ日劇で『パレス・ダウン』が上映され、ニコラ・サーダ監督を迎えてトーク・ショーが行われた。緊張感みなぎる作品の余韻が残る会場にサーダ監督が現れると、観客からは大きな拍手が送られた。

本作は、2008年11月26日にインド・ムンバイで起きた同時多発テロに巻き込まれた少女の実話をもとにしたサスペンス。原題の「タージマハル」は、少女が閉じ込められた高級ホテル「タージマハル・ホテル」に由来している。映画化を決めた理由について、「当初は、このテロ事件を題材に映画を作るとは思っていませんでした」と語ったサーダ監督。「でも2~3年たってこの若い女性の話を聞き、彼女の視点で撮ろうと思った。心配ごとの多い若い世代の話を描きたかったのです」。

FFF Japon2016_Taj Mahal_QAsession photo 4主人公のルイーズには、ラース・フォン・トリアー監督の『ニンフォマニアック』(14)で注目されたステイシー・マーティンが扮している。「ヒロインがきれいでびっくり」と言う観客から起用理由をたずねられると、「感情を現す顔の表現などができる女優を求めた」と回答。また、若い女性が主人公の作品を作るのは初めてだということで、友人であるソフィア・コッポラに脚本を読んでもらったことも明かした。

本作の製作方針として、事実を曲げずに、できるだけ忠実に再現することにこだわったという。ホテルから脱出を試みる主人公が勉強中のカメラを取りに引き返すシーンについて、観客から意味を問われると、「死ぬか生きるかの状況で、初めは何も持たないつもりでいた女性が、まだ人生の続きがあると希望を見出し、カメラを取りに戻ったという実際の行動だった」と説明。ルイーズが「ヒロシマ」を舞台にしたアラン・レネ監督作『二四時間の情事』(59)のDVDを観る場面も、実際に本人が観ていたタイトルだったと明かした。「私が追悼の意味を込めていると思われた観客も多いようなのですが、これも実話。ほかにも偶然のエピソードがあって、ルイーズ本人とステイシーが対面した時、2人とも日本に住んでいたことがあり、共通の友だちもいることもわかったんです」。

FFF Japon2016_Taj Mahal_QAsession photo 5映画の終盤、ルイーズがインドの喧噪とは対照的なパリのカフェで、同じく事件に巻き込まれた被害者に電話をする印象的なシーンがある。シーンの意図を問われると、監督は「ルイーズ本人に、あの惨劇を経て心に残っているものは何かと聞いたら、2~3日答えが返ってこなかった。その後、メールで『結局みんな孤独であるとわかった』と返事をくれました」と振り返り、この映画に込めた思いを教えてくれた。「テロを題材にしてはいますが、現在に生きてる人間は他人とコミュニケーションがとれておらず、みな孤独である。それを最後にメッセージにしたいと思いました」。

最後に日本語で挨拶しようとポケットに忍ばせたメモを探すも、なかなか見つからずにあたふたするお茶目な一面も見せたサーダ監督。退場間際のタイミングでメモを発見し、「皆さまに感謝申し上げます」と述べ、にこやかに会場を後にした。

『パレス・ダウン』は「カリコレ2016」にて7月29日、8月2日、8月13日に上映が予定されている。

(取材・文:新田理恵、撮影:白畑留美)

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