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レポート

【レポート】6/29『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』

2015.6.30

AMG_2779Sフランス映画祭最終日の6月29日(月)、有楽町朝日ホールにて『セバスチャン・サルガド / 地球へのラブレター』(14)が上映され、平日の日中にも関わらず多くの観客が会場を埋めた。本作は、ブラジル出身の世界的な報道写真家であり、環境活動家としても知られるセバスチャン・サルガドの軌跡を名匠ヴィム・ヴェンダース監督がセバスチャンの長男であるジュリアーノ・リベイロ・サルガド監督と共に解き明かした感動のドキュメント。上映後のQ&Aには、ジュリアーノ監督が登壇し、本作誕生の裏話を語った。

IMG_0598Sまず、東京フィルメックス・プログラミングディレクターの市山尚三さんから紹介を受けたジュリアーノ監督は「セバスチャンが持っている楽観性とバランスのとれた世界、希望の持てる世界をみなさんに感じてもらい、分かち合えたなら嬉しいです」と挨拶した。

実は本作を撮影する前は、多くの父子が経験するように、決して親子の関係性が良好だとは言えず、父・セバスチャンについての映画を撮ることは考えられなかったとジュリアーノ監督。しかし、セバスチャンの取材旅行に同行したことをきっかけに様々な人と出会い、良い影響を受ける中で父子の関係も徐々に変化していったという。そして「40年間、世界を特別な視点で見てきた証人である父の世界を描こう」と思い至り、2011年よりヴェンダース監督と共に本格的な制作を始めた。

AMG_2818S父親の仕事をする様子を見てどう感じたか、という客席からの質問には「取材旅行中ではなく、ヴェンダース監督のアイディアと編集により私は父を見出すことになった」と回答。写真とセバスチャンの語りによって、40年間の変容を描くことはジュリアーノ監督の中で固まっていたそうだが、そこにヴェンダース監督の素晴らしいアイディアが化学反応をもたらした。「彼はセバスチャンをスタジオに座らせ、周りを黒い幕で囲んで孤立させ、何も見えない、何も聞こえない状態にした。目の前にマジックミラーを置き、裏にはカメラをセット。マジックミラーに映し出される写真を2枚、3枚と見ているうちに、セバスチャンはどんな人に出会い、どんな状況で撮った写真か自然と語りだしたんだ。」

AMG_2750Sその後、ヴェンダース監督が編集した映像を見て、初めて他人の目を通して父が語る姿を見たジュリアーノ監督は、セバスチャンがどのように苦しみ、精神的に成長していったのか理解できたという。そこからギクシャクしていた父子の関係は完全に変わり「友人」になることができた、と振り返った。

AMG_2713S最後に、ジュリアーノ監督から「何かをやろうと思っても、自分はどうせ何も役に立たないのではないか、と思うかもしれない。今、世界はネガティブなニュースで溢れているが、その中でもセバスチャンのように私達1人1人が少しでも行動を起こすことで、必ずポジティブな状況を作り出すことができると信じています」と、観客へメッセージが送られると、会場からは大きな拍手が沸いた。

IMG_0562S「神の眼」を持つと称されるセバスチャン・サルガドの写真は、私達が未だ知らない現実の世界へと誘う。本年度アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞にもノミネートされた本作は、8月1日(土)から、Bunkamuraル・シネマ他にて全国ロードショー予定だ。

(取材・文:小嶋彩葉、撮影:白畑留美)

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