―ベラとヴィプランという若い世代の2人を主人公にした理由を教えてください。
若い世代の2人を主人公にしたのは、その世代の人たちに対して主に訴えかけたかったというのがあります。元々、自分は気候問題のデモ行進などにも積極的に参加していて、そこで若い人たちにもたくさん会ってきたのですが、未来を悲観して、失望している人たちが多くいて、そういった世代の人たちに対してこういう映画を作って希望を与えたいと思いました。それで2人のティーンエイジャーを主人公にすれば、そういった若い人たちも自己投影ができるし、同時に未来を見据えた若い人たちの新鮮な目を通じて、年配の方々にも色々学んで感じ取ってもらえるのではと思いました。
―映画祭初日は、寒い中レッドカーペットを歩いていただきましたが、横浜の印象はいかがでしょうか。
横浜の街を今見ている限りでは、海は近くにあるけれど木が少なく、豊かな自然が周りになくて、生き物、虫や動物や土といったものを見たり触れたりすることが中々できないように思います。東京も、飛行機で着陸する時に街を見ていましたが、無限に都市が続いているという印象でした。私は他の国を批判している訳ではなく、パリも同じで、コンクリートがたくさんあって、都市化がどんどん進んでいます。だから、もう少し他の種も存続できるような自然界が近くにあって、共存できるようなスペースがあればいいなと思います。
―最後にこの作品の公開を楽しみにしている観客のみなさんにメッセージをお願いします。
今、世の中に様々な問題がありますが、その中で最も重要だと思うのが、この地球が住めない場所になってしまうのを阻止するということだと思います。温暖化や種の絶滅がこれ以上進むことを止めなければいけません。地球がこれから更に温暖化し、より住めない場所になってしまったら、それがまたさらに経済的な問題や衝突をもたらしてしまうでしょうし、水が足りなくなって、農業ができなくなるなど様々な事が悪化していく一方です。ぜひこの映画を観ていただいて、色んなものを知って、学んで、心を揺さぶられて、自分も何かしようという気持ちになって、できることがまだまだたくさんあるという希望を持って、問題の解決につながるようなことをぜひ実践していただければと思います。それが成し遂げられれば、今よりも住みやすい世界ができるでしょうし、次の世代、更にその次の世代まで住める場所になっていけるように、行動を起こしていただければと思います。
監督:シリル・ディオン
キャスト:ベラ・ラック、ヴィプラン・プハネスワラン、ジェーン・グドール、アンソニー・バルノスキー
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