『アデル、ブルーは熱い色』のアブデラティフ・ケシシュ監督が『身をかわして』で見出した若き才能、サラ・フォレスティエの演技が見るものを魅了する。
デビュー作『聖少女アンナ』(10)が優秀な新人監督に与えられるルイ・デリュック賞を受賞した女性監督カテル・キレヴェレの待望の監督第2作『スザンヌ』は、奔放に生きる女性とその家族との関係を描く作品だ。映画は幼いスザンヌが他の子達と一緒に舞台でダンスする微笑ましい場面から始まる。母親は既に他界し、姉妹はトラック運転手として働く父親に育てられている。時が過ぎ、スザンヌは高校生となっている。ある日、学校に呼び出された父親は、スザンヌが妊娠しており、堕胎するには既に手遅れであることを知らされる。やがてスザンヌは男の子を生むが、好きな男ができると子供を父親のもとに残したまま消息を絶つ......。スザンヌの波乱に満ちた半生は、断片的なエピソードの連続によって語られる。通常ならば描かれるであろう劇的な瞬間はしばしば大胆に省略され、平凡な日常がいかに貴重であるかを実感させてくれる。スザンヌを演じるサラ・フォレスティエが素晴らしいのは言うまでもないが、特筆すべきは父親を演じたフランソワ・ダミアンであろう。主演作品『俳優探偵ジャン』とは全く異なる静謐な演技はこの俳優の懐の深さを証明してくれる。2013年カンヌ映画祭 批評家週間オープニング作品。
映画情報
邦題:スザンヌ
原題:Suzanne
監督:カテル・キレヴェレ
出演:サラ・フォレスティエ、フランソワ・ダミアン、アデル・エネル
2013年/フランス/94分/ビスタ/5.1ch
★2013年 カンヌ国際映画祭 批評家週間オープニング・ナイト作品
★2013年 テッサロニキ国際映画祭 審査員特別賞
★2014年 セザール賞 助演女優賞(アデル・エネル)