素顔のルル

「私は幸福についての映画を作ったのです」(ソルヴェイグ・アンスパック)
自らの人生を少しずつ取り戻す、愛らしく強いルルの物語。

日本でも『陽のあたる場所から』(03)が劇場公開されているアイスランド出身の女性監督ソルヴェイグ・アンスパックがエティエンヌ・ダヴォドーのバンド・デシネ(ヨーロッパの漫画)を映画化した作品。主人公は40代の主婦ルル。就職面接に失敗したルルは、終電を乗り過ごし、大西洋岸の小さな町サン・ジル・クロワ・ド・ヴィで一夜を過ごす羽目になる。翌日、再び電車を乗り過ごしたルルは、夫と3人の子供たちが待つ家に帰ることを放棄し、この町にしばらくとどまることを決意する。自由に生きる初老の男シャルルと恋に落ち、同居を始めるルル。ルルの妹が心配してやって来るが、幸せそうに暮らすルルに対して家に戻るよう言い出せない。長女までもが町にやって来たのを知ったルルはシャルルのもとを離れ、偶然知り合った老女マルトの家に転がり込む。二人の間にはある種の友情が芽生え、ルルの新たな冒険が始まる......。アンスパックの監督デビュー作『Haut les cœurs !』(99)でも主演したカリン・ヴィアールが自由を求めて予想もつかない行動に出るヒロインを演じる。シャルルの二人の弟たちに代表されるように、社会からはみ出したような奇妙な登場人物たちが次々と登場するのも面白い。


映画情報

邦題:素顔のルル
原題:Lulu femme nue

監督:ソルヴェイグ・アンスパック
出演:カリン・ヴィアール、ブリ・ラネール、クロード・ジャンサック

2013/フランス/87分/シネマスコープ/5.1ch

★2013年サルラ映画祭(フランス) 女優賞"