スターは俺だ！

名前、ベルナール・フレデリック、職業、クロード・フランソワ、70年代屈指の人気歌手。そう、彼の職業は時代の寵児クロード・フランソワに成り代わること、クロードのそっくりさんとして4人の女性コーラスたちと共に歌い踊ることだったのだ。
　ベルナールの野心、それは妻ヴェロの迷惑も顧みず、そっくりさんコンテストで見事優勝すること。そのコンテストはゴールデンタイムに全国放送されることになっていた。
　栄光への渇望と妻への真実の愛との間で、憧れの歌手と妻ヴェロとの間で板ばさみになり身動きの取れなくなったベルナールは、ひとつの選択を迫られていた。これがこの映画のお話の全て。
　そっくりさんにまつわるスラップスティック･コメディ、70年代の寓話、大衆文化のアイコンたちが陳列されたグレヴァン＃蝋（ろう）人形館へのノスタルジックなバラード……。「スターは俺だ！」ではある絶望的な話がこっけいに語られている。つまり、有名になりたいという欲望がどのようにして現代の宗教に変貌したのか、ということへの考察である。