幻滅』上映後Q&Aレポート
上映日:2022年12月2日(金)20:00~
ゲスト:バンジャマン・ヴォワザン(出演)
開催場所:イオンシネマみなとみらい
MC:佐藤久理子
通訳:人見裕子
幻滅
 
イオンシネマみなとみらいでの『幻滅』上映後、同作主演のバンジャマン・ヴォワザンを迎えたQ&Aが行われた。フランスの文豪オノレ・ド・バルザックが手がけた小説を映画化した本作は、2022年セザール賞7部門を受賞する快挙を成し遂げた重厚なドラマ。文学を愛し、詩人として成功を夢見る田舎の純朴な青年リュシアンが、あこがれのパリで暮らす中で、当初の目的を忘れ、欲と虚飾と快楽にまみれた世界に身を投じていくさまを描き出す。
 
映画上映後、重厚なドラマを堪能した観客からの力強い拍手で迎えられたバンジャマンは「みんなお元気ですか、上映を楽しんでもらえましたか?」と笑顔であいさつ。彼自身、この作品の撮影よりも前に、原作となったバルザックの小説を読んだことがあったといい、「この原作は、フランス人だったら、だいたい若い頃に読む小説なんです。僕も高校生くらいに読んだんですけど、その当時はこの小説を味わえるほどに成熟していたわけではなかった。でも、この小説は祖父が大好きだったもので。それを孫である僕の主演で映画化されるということになり、祖父が涙を浮かべて喜んでくれた。それは本当に感激しましたし、このようなすばらしい機会を与えてくれた監督に感謝します」と謝辞を述べた。
幻滅
 
豪華キャストの共演が話題となっている本作、共演者とのエピソードを尋ねられるひと幕も。「ジェラールは、撮影初日の朝7時にスクーターに乗ってやってきて。みんなにワインと、骨付きの大きな肉を振る舞ってくれた。ジェラール・ドパルデューならではという感じでしたね。でもいざ本番となると完璧にセリフが頭に入っていて。その様子を目の当たりにできるというのは本当に贅沢な時間だった。彼の目を見ていると、撮影現場で彼がどれだけのことを経験してきたのか、思い知らされるようでした」と振り返る。
 
さらに共演者のヴァンサン・ラコスト、グザヴィエ・ドランについては「彼らは年代的に近い俳優なので、思い出も多かった。次はいつ現場で一緒になるかなと楽しみにしていたんですよ」とコメント。さらにドランについては「彼は、カンヌに監督として何度も出品している世界的な映画スターだけど、俳優としてはそれほど経験があるわけではなかった。そういう彼の姿を見るのは新鮮ですばらしかった」と語る。
 
そして「セシル・ド・フランスさんの大ファンなので、彼女の出演作を観られてうれしい」と熱っぽく語った観客のコメントには、「僕もあなたと同じ気持ちです」と笑顔を見せたバンジャマン。「彼女は本当にすばらしい女優。僕自身、あの集中力の高さは見習いたいと思っています。撮影現場では、照明を準備するのに本当に時間がかかる。本来ならスタンドインという代役の人で光のチェックをするもので、俳優はそこにいなくてもいいわけですが、彼女はどういう風にカメラの光が作られるのか見てみたいと言い、控え室に戻らなかったこともありました。それは本当にプロフェッショナルで素晴らしいことだと思いました」と感服した様子を見せた。さらにジャンヌ・バリバールについては、「彼女から2日目くらいに『あなた、お願いだから100%完璧に演じきるのはやめてくれない? 観客にも想像する余地を残してくれない?』と言われたことがあって。それは僕自身、参考になりましたね」と付け加えた。
幻滅
 
本作はフランスで権威ある映画賞として知られるセザール賞の7部門を獲得。「その時はどんな心境になった?」と質問されると、「この作品はセザール賞にたくさんノミネートされていたんですが、僕は欲張りなので、すべてのカテゴリーで受賞するといいなと思っていました。結果的に最優秀作品賞を含む7冠を獲得することになったわけですが、このチームが評価されたということでうれしかったですね」とコメント。「でも翌日になって、セザール賞のトロフィーを眺めているうちに、もしかしてこれは金なのかな? 高く売れるかな? という邪念が湧きましたね……というのは冗談ですが」と笑いつつも、「これをきっかけに、これまで組んだことのない監督にも興味を持ってもらえたらいいですよね」と笑顔で付け加えた。
 
 
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上映会場となったイオンシネマみなとみらい