『愛しのベイビー』上映後Q&Aレポート
上映日:2019年6月22日(土)15:15
ゲスト:リサ・アズエロス(監督)/ タイス・アレサンドラン(俳優)
MC:佐藤久理子
通訳:田中映美
6月22日(土)イオンシネマみなとみらいにて『愛しのベイビー』上映後に、リサ・アズエロス監督と、本作で末娘ジェイド役を演じたタイス・アレサンドランさんによるQ&Aが行われた。
映画の中ではシングル・マザーのエロイーズを、女優のサンドリーヌ・キベルランが演じている。実生活では、タイスさんの母はリサ・アズエロス監督であることが、Q&Aの冒頭でMCから紹介された。映画の設定と同様、アズエロス監督は3人の子供を育ててきたシングル・マザーで、タイスさんは現在カナダの大学に留学中。本作がゲストの二人にとって、実生活とリンクしていることも、見どころのひとつであることがわかった。
『愛しのベイビー』に自身の体験を入れ込んだ理由を聞かれたアズエロス監督は「自分の人生を語ることによって、観客の人生も投影できるのではないかと考えた。女性が胸を張って生きていけるようになってほしい。世間からあまり重要視されていない“母親”という役を、ぜひ自信を持って演じてほしい」との思いで、本作を製作したと語った。
タイスさんは7歳の頃から女優として仕事をしており、アズエロス監督とタッグを組むのは3度目。本作の企画段階から参加し、「出演するからには、女優としてとことんまで頑張りたい」との思いでジェイド役に取り組んだという。とはいえ、いざ撮影にあたっては「母の求めている演技ができるのか不安に感じることもあった」と告白。だが最終的にはアズエロス監督が励ましてくれたことから、「自信を持ってジェイド役を演じることが出来た」と撮影を振り返った。
「シングル・マザーという立場であっても、恋人がいたり、友人と楽しんだり、仕事を頑張りながら、前向きに生き生きと生活している女性を描くことで、そのような状況にいる女性たちに“罪悪感”を拭ってもらいたい」とのアズエロス監督の思いを込めたという。
そして、アズエロス監督は「私自身、まだ子離れが出来ているかはわかりませんが……」と前置きしながらも「私は常に、母としてのアイデンティティ、映画人としての仕事に対するアイデンティティ、友人に対する自分のアイデンティティ、そして親から見た娘としてのアイデンティティといった、外からの眼差しを気にしながら生きてきました。でも、この作品を手掛けたことで、自分に対して優しい眼差しを向けられるようになったと感じています。外からの眼差しではなく、自分で自分の人生を大事にしていけるのではないかと思えるようになったことが、とても嬉しかったです」と心境を語った。
最後に、客席で本作を鑑賞していた林文子・横浜市長からも、「まさにタイスさんの魅力が爆発といった感じで素晴らしかったです。スター誕生ですね」と、タイス・アレサンドランさんの演技に対しての絶賛評が寄せられ、タイスさんも「ありがとうございます。お言葉に感激いたしました」と、はにかんだ笑顔をのぞかせていた。