6/22(金)『2重螺旋の恋人』上映後Q&Aレポート

2重螺旋(らせん)の恋人

6/22(金)『2重螺旋(らせん)の恋人』上映後Q&Aレポート

ゲスト:フランソワ・オゾン監督
モデレーター:矢田部吉彦

双子の精神分析医との背徳の愛を描いた『2重螺旋の恋人』が上映された。日本でも高い人気を誇るオゾン作品を、いち早くを観ようと集まった満員の観客の前に5年ぶりに来日したオゾン監督が登場した。

満席の客席にご挨拶お願い致します。

今日はありがとうございます。この映画を観た後で、みなさんが混乱状態じゃないとよいのですが(笑)

サスペンスと日常の隙間を描く素晴らしい作品だと思いました。発想の源はどこからですか?

出発点はまずは双子に興味があったこと。もう一つは原作との出会いです。ジョイス・キャロル・オーツというアメリカの作家の小説です。彼女の「双子の生活」という本を発見して映画にしたいと思いました。

二人とも精神科医という設定は監督のアイデアですか?

二人の精神科医、精神的に弱い女性が精神分析を受け始める、精神分析医と恋に落ちる、そして彼がアイデンティティについて隠しているのではないかと疑う。ここまでは原作通りです。アメリカの小説なので、アメリカ風のことが多く、それらをすべてフランス風に脚色しました。例えば精神分析の方法などです。またラストも変えました。原作のラストは文学だと成立するのですが、映画には向かないので作家を裏切ることになるかもしれませんが、変更しました。

「フランス風に脚色」とはもう少し具体的に教えていただけますか。

私はフランス人なので自然とフランス風になっていったと思います。フランスの精神科医の方が、クライアントと寝てしまう確率が高いのかはわかりませんが、そうゆうことはしない方がよいと思います。

全く違う双子のポールとルイのキャラクターをどうのようにして作りましたか?

2重螺旋(らせん)の恋人
全ての俳優にとって双子を演じるのは夢だと思います。役者というのは常に「自分」と「役柄」というダブルの存在です。ジェレミー・レニエにとっても夢の役だったはずです。時系列に撮影できたので、そこまで複雑ではなかったと思います。ポールとルイは髪型が違いますし、声の質も変えて工夫しています。しかし映画が進むにつれて、わざと二人の人物をわかりにくくして、混乱を生むような仕立てになっています。

ヒロインのセクシャリティについても触れていますが、女性のセクシャリティというよりかはジェンダーを超越していくような視点も含まれていると思うのですが、いかがですか?

奇妙な意見ですね。この映画のセクシャリティのテーマは「不満足」です。クロエは恋人ポールとの間に愛情はあるが、妄想が満たされていない。だから他のものが必要だったんだと思います。そのような二面性は誰にでもあります。セックスという性の問題と愛情という心の問題の乖離を描きたかった。日本の人はこのあたりの問題を解決するのは長けているのではないでしょか。

マリーヌ・ヴァクトさんはオゾン監督の『17歳』を観た時から注目していました。すごく美人ですが、不思議で怪しい雰囲気が役柄に合っていましたが、脚本を書いている時から彼女に決めていましたか?

執筆のあとに役をオファーしました。彼女は『17歳』の頃はまだ少女でモデルだったので、女優になるか決めてませんでした。『17歳』で成功して女優になる決心をし、そして母になり、大人の女性になった。今回の役柄ととても合っていました。

ジェレミー・レニエとジャクリーン・ビセットについて教えてください。

ジェレミーについてはここで告白しますと、実は第一候補ではありませんでした。某フランスの有名俳優が決まっていたのですが、シナリオを手直ししてショッキングなシーンを書き加えたバージョンを読んだ彼は、こんな大変なシーンはできないと役を降りてしまいました。僕が信頼している俳優とやらなければと思い、2回ほど仕事をしていたジェレミーに声をかけると「楽しんでやるよ」と答えてくれました。
ジャクリーンさんについては、猫のような目の女優さんが必要だったのですが、すぐに彼女を思いつきました。英国生まれで、アメリカで活躍していますが、実は70年代にはフランスで人気があった女優です。

日本でも毎年新作が観れるほど多作ですが、そのテーマはどのように決めていますか?

テーマは身の回りにいっぱいあります。新聞を開けば、人と会えばテーマになるものはたくさんあります。難しいのは、その題材に1年〜2年も自分自身が向き合えるのかどうかです。同業者の中には映画製作が苦しいと言う方もいますが、私はとても楽しいのです。製作していない方が苦しいのです。

2重螺旋(らせん)の恋人』は、8月4日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

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