6/22(金)『顔たち、ところどころ』上映後Q&Aレポート

顔たち、ところどころ

6/22(金)『顔たち、ところどころ』上映後Q&Aレポート

ゲスト:ジュリー・ガイエ(プロデューサー)
モデレーター:佐藤久理子

「ヌーヴェルヴァーグの祖母」とも呼ばれる女性映画監督の先駆者アニエス・ヴァルダ。そのヴァルダがアーティストJR(ジェイアール)と共同監督した本作は、年の差54歳のふたりが、フランスの田舎を旅し、様々な人々と作品を作り残していくハート・ウォーミングなロード・ムービー。上映後、プロデューサーをつとめたジュリー・ガイエが登壇した。

ジュリー・ガイエさんは女優としても有名ですが、本作に関わることになった経緯をお聞かせいただけますか?

まだ私が20歳のころ、俳優のミシェル・ピコリさんのところでベビーシッターをさせて頂いたことがあったのですが、それがきっかけでピコリさんからヴァルダ監督を紹介してもらったのです。それ以来、監督とはずっと親しくさせてもらっていて、『百一夜』に出演もさせてもらいました。監督は映画に関する様々なことも教えてくれた恩人で、私の人生を、映画の旅へと誘ってくれた方です。女性監督として先駆的な存在ですし、単なる女性というだけでなく、女性の視点から見た世界を描き続けてきた監督です。今回はこれまでの恩返しの意味も込めて、プロデューサーとして参加させて頂きました。

共同監督のJR(ジェイアール)さんは、いわゆるストリートアートのような作品を作られる方ですが、彼との共作についてはどういう経緯で決まったのでしょう?

JRを紹介してくれたのは、ヴァルダ監督の娘のロザリー・ヴァルダさんです。私が若い頃出演した映画で衣装デザインをされていましたが、近年では映画の製作や、ヴァルダ監督とドゥミ監督の過去作の修復にも尽力されています。彼女が「ぜひJRを監督に会わせたい」と言ってふたりをつなげてくれました。
実は、もともとヴァルダ監督も写真家としてキャリアをスタートしていたのです。JR同様、ストリートアートのような作品も作っていて、その意味ではヴァルダ監督が『落ち葉拾い』などからテーマとしている「次世代への伝達」という内容も描く作品にできるだろうと思いました。
二人はリスペクトし合いながらも、ユーモアを持って接していて、親子みたいでした。JRは一見ミステリアスですが、かなり年の離れた、おばあちゃんのようなヴァルダ監督と一緒にいることで、観客のみなさんも距離感が近くなるように思います。

映画の冒頭に、クラウドファンディングで支援をしてくれた方々への感謝の言葉が出てきたのですが、ヴァルダ監督のように世界的に有名な監督でさえも、新作の資金を集めるのが大変だったということに驚きました。

顔たち、ところどころ
私も全く同感です。でも、映画というのはシナリオを見た段階では、完成してどういう映画になるのかは分かりませんから、資金を集めるのは大変な仕事なのです。例えば、完成した映画が長すぎると(劇場で上映できる回数が減るため)不安になる関係者もいますからね。
また、やはり女性監督として「ガラスの天井」はあると思います。いまだに、大規模な予算の作品だと、女性監督の割合はアメリカではわずか3%です。フランスでは27%くらいですが、それでも給料は男性にくらべて4割も安いのです。

とても面白いドキュメンタリーでしたが、この構成はどのくらいまで最初から考えられていたものなのでしょうか?シナリオの段階から想定していたものなのか、それとも編集で変えた部分もありますか?

全体の構成はシナリオの時点ではっきりと決まっていました。映画の中でやりたいこと、行きたいところなど、しっかりと書き込まれています。ヴァルダ監督の意図は明確でした。

今回、女優ではなく、プロデューサーとして仕事をされたわけですが、どういうスタンスで仕事に取り組まれたのですか。

本作には資金を集めるだけでなく、シナリオ段階からずっと関わっています。例えるなら(書籍の)編集者のような関係です。映画の関係者以外の人が見たときにどう思うかという、第3者的な視点を監督に伝えることも私の役割でした。
私が映画というメディアで一番興味深いと思うのは、「監督の目を通して、違う世界を見せられる」という点です。ですから、「監督の映画を作る」ということが重要です。同時に観客ともコミュニケーションが取れるような作品にするため、できる支援をすることが大切だと思います。

顔たち、ところどころ』は2018年9月、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

顔たち、ところどころ

顔たち、ところどころ

関連記事一覧

  1. フランス映画祭2018
  2. フランス映画祭2018
  3. 子どもが教えてくれたこと
  4. マスタークラス「フランス映画界を牽引する若手俳優がキャリアを語る」
  5. マスタークラス「女性監督によるフレンチホラーの魅力」
PAGE TOP