6/22(金)『グッバイ・ゴダール!』 上映後Q&Aレポート

グッバイ・ゴダール!

6/22(金)『グッバイ・ゴダール!』上映後Q&A レポート

ゲスト:セルジュ・トゥビアナ(ユニフランス会長)
モデレーター:矢田部吉彦

ヌーヴェルバーグを代表する映画監督ジャン=リュック・ゴダールに見初められ、『中国女』の主演を飾ることになった学生のアンヌ。恋に落ちたゴダールと映画を作る刺激的な日々を『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督が描いた作品『グッバイ・ゴダール!』がフランス映画祭 2018にて上映された。
ゲストとして登壇したのは、フランス映画祭の主催でもあるユニフランス会長のセルジュ・トゥビアナ氏。フランスの代表的な映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」の編集者も務め、ゴダールとも友人のトゥビアナ氏が、映画で描かれた時代について語った。

16歳の時にはじめてゴダールの作品を観てからというもの、ゴダールやフランソワ・トリュフォーらのヌーヴェルバーグの傑作群によって、映画ファンになったというトゥビアナ氏。

ゴダールやトリュフォーの作品は、私を映画の世界に誘ってくれたという意味で感謝しています。何か借りを返さないといけないと思っていたので、こうして日本のみなさんの前で当時のことを語れるのは嬉しいです。カイエ・デュ・シネマではトリュフォー、シャブロル、ロメールといった60年代を代表する多くの映画作家が寄稿していました。私も駆け出しの映画評論家として書いていたのですが、そこで私の指南役のような存在になってくれたのが5歳年上の映画評論家セルジュ・ダネーだったのです。私たちがそこで特に語りあっていたのは、「トリュフォーとゴダールは仲直りしなければならない」ということでした。ゴダールとトリュフォーというヌーヴェルバーグを代表する二人の監督が、兄弟のような間柄だったのにもかかわらず、5月革命以降は永遠に決別してしまったことは有名です。私たちはそれが辛かった。そこで、二人でゴダールの住むグルノーブルまで会いに行きました。でも、ゴダールの話は、二人ともさっぱり分からなかった(笑)

幸運にもトゥビアナ氏がゴダールに気に入られたようで、二人は親しくなる。

私のユーモアのセンスを気に入ってくれたみたいです。とても良くしてくれました(笑)。

本作は、ゴダールのミューズの一人であったアンヌ・ヴィアゼムスキーから見たゴダールという存在も見どころのひとつだ。65年、パリ・ナンテール大学の女子大生だったアンヌは18歳。ノーベル文学賞作家フランソワ・モーリアックの孫娘という超サラブレッドだった。かたやゴダールは38歳。すでに10作品以上の監督作があり、そのどれもが傑作という世界的に有名な映画監督だった。

アンヌがゴダールと一緒にいたのは2年半。ちょうど1968年の五月革命に重なる時期で、短いけれども濃密な時期だったと思います。今年は偶然、5月革命から50周年ということで、カンヌ映画祭でも特集やイベントが行われました。でも、私は“祝う”という気分とは少し違います。私にとっては多くの間違いをおかした(苦い)青春時代ですから。日本でも似たような学生運動がありましたが、当時の若者たちは、自分たちの手で社会を変えられるという幻想を抱いていました。そんな幻想を抱きながら、ひとつに団結していく若者たちが描かれています。いま、世の中は良くなりましたが、もう自分たちの手で社会を変えられるという実感はないですよね。むしろ分断されてしまっています。
 
最後に、本作の邦題『グッバイ・ゴダール!』と原題『Le Redoutable』の違いについても触れた。

個人的には、日本語の『グッバイ・ゴダール!』というタイトルはフランスの原題『Le Redoutable(おそるべき男)』よりも映画に近いと思いますね。若い女性が一人の男性に対して「さようなら」と別れを告げるまでの心情をよく描いた作品に感じられます。これは若いアンヌが、ゴダールに抱いていた幻想から覚める話でもあります。

ちなみに、「グッバイ」と言われたゴダールは、今年のカンヌ映画祭で新作を披露したばかり。88歳を迎えて今やヌーヴェルバーグ最後の生き残りといっても過言ではない。

さようならと言われたけど、実際のゴダールはまだ健在です(笑)。

グッバイ・ゴダール!』は7月13日(金)より新宿ピカデリーほか全国順次公開

グッバイ・ゴダール!

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