レポート

【レポート】6/25 『愛と死の谷』

FFF Japon2016_Valley of Love_QA session photo 1フランス映画祭2日目の6月25日(土)、有楽町朝日ホールにて『愛と死の谷』が上映され、ギヨーム・ニクルー監督と、主演であり、今年のフランス映画祭の団長イザベル・ユペールさんが上映後にトークショーを行った。
本作は、離婚した夫婦が自殺した息子から受け取っていた手紙に導かれ、カリフォルニアのデスバレーで再会する物語。フランスを代表する2大スター俳優であるイザベル・ユペールさんとジェラール・ドパルデューさんが35年ぶりに共演したことでも大きな話題を呼んだ作品である。

まず、2大俳優を起用しての製作の経緯について話が及んだ。前作でユペールさんと組んでいたニクルー監督は、親密で現代的なテーマに取り組みたいと本作のプロジェクトを提案したところ、ユペールさんが快諾したという。その後にドパルデューさんに話を持ちかけたそうだ。

FFF Japon2016_Valley of Love_QA session photo 5ユペールさんにとってドパルデューさんとの共演は3回目だが、ことさら感慨深いものがあったわけではなかったという。「彼のような素晴らしい俳優と演技をするときは、すべてがとてもシンプルに進みます。シナリオは、よく構築された繊細な台詞でありながら日常会話で、自分らしさを台詞の中に込めることができました。私とジェラールは、何も考えずに現場に行って仕事をするという、似たような仕事のスタイルを持っています」と、自然体で臨んだ現場の様子を語ったユペールさん。

本作は気温50度を超える記録的な猛暑の中、全編ロケーションで撮影された。劇中、ドパルデューさんの汗だくの姿が印象に残るため、撮影の苦労話を訊ねられると、ユペールさんからはプロらしい答えが返ってきた。「汗を流すことも人間らしい行為。(撮影は)新しいものを発見するイニシエーションの旅で、暑さはそのうちのひとつ。肉体的な試練ではなく、別の世界を作り出す旅でした。そうした過酷な環境が人物像の栄養となりました」

FFF Japon2016_Valley of Love_QA session photo 4さらに、ニクルー監督は個人的な体験が本作に反映されていることを明かした。「映画というものは、すべて個人の体験から生まれてくるもの。何か出来事が起こると、それに対して想像力が働き、そうした想像の産物から、何かが残り、何かが消えていく。出来事が起こったときの感情や感動、そうしたものをいかに引き出して作品にするかが難しいところです」と持論を展開した。

本作の舞台となったデスバレーについて、ユペールさんは「惑星にやって来たようなイメージ」と評し、「別れた夫婦は、現実の生活から切り離され、デスバレーで2人きりの、親密な世界に没入する機会を得たわけですから、デスバレーでなければ生まれない感情がありました」と振り返った。ニクルー監督も、背景が映画を作る上で重要な要素であることを強調した。

最後に、ユペールさんが本作をアピール。「通常、映画は冒険ですが、今回は体験する映画でした。観客にとっても特別な体験をさせてくれる映画だと思います」と述べてトークショーを締めくくった。ファンの観客からのラブコールにも気さくに応じたユペールさんと、作品への強い思いを語ったニクルー監督には、熱気あふれる会場から惜しみない拍手が寄せられた。

(取材・文:海野由子、撮影:白畑留美)

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