レポート

【レポート】6/24 オープニングセレモニー&『太陽のめざめ』

FFF Japon2016_OPCeremony_photo 46月24日(金)、有楽町朝日ホールでフランス映画祭2016が開幕。総勢 15名に及ぶゲストが登壇した華やかなセレモニーに続き、オープニング作品『太陽のめざめ』が上映された。

オープニングセレモニーは、主催者ユニフランスのイザベル・ジョルダーノ代表の挨拶に続き、来日ゲストの団長で女優のイザベル・ユペールさんが登場。「溝口、小津、黒澤、大島の映画を見て育ちました」と日本の映画や文化に対する愛着を語り、「会場が多くの方で埋まっていることが、本当にうれしいです。とてもよい映画祭になると思います。」と挨拶。

続いて、最新作『海よりもまだ深く』(16)をはじめ、監督作品を数多くカンヌ国際映画祭に出品し、フランスと縁の深い是枝裕和監督が登場し、ユペールさんに花束を贈呈。「日本とフランスの映画界の交流や共同制作は今後増えていくと思います。色々な形で互いの国の映画が交流し、刺激し合って、新しい映画が生まれていくことを願っています。」と期待を寄せた。FFF Japon2016_OPCeremony_photo 7

さらに、大きな拍手に迎えられて壇上に姿を見せた来日ゲスト12名に続き、深田晃司監督と俳優の浅野忠信さんが登壇。2人が組んだ映画『淵に立つ』(16)は、今年の5月に行なわれた第69回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞を受賞したばかり。深田監督は「韓国とフランスは合作協定を結んでいますが、日本にはまだそういったものはありません。フランス映画祭を通じて、両国の結びつきが強くなることを期待しています」と挨拶。ユペールさんの大ファンだと語る浅野さんは「イザベルさんと僕で映画を撮ってください」と深田監督にアピールして会場を沸かせた。

セレモニーが終了すると、来日が叶わなかったエマニュエル・ベルコ監督からのメッセージが読み上げられた後、オープニング作品『太陽のめざめ』の上映。終了後には、主人公の少年マロニーを演じたロッド・パラドさんが登壇してトークショーが実施された。

FFF Japon2016_La Tete haute_photo 1『太陽のめざめ』は、親の愛を知らずに育ち、荒れた生活を送る少年と彼を更生させようとする女性判事の交流を描いたドラマ。パラドさんは映画初出演ながら、その熱演が高く評価され、フランスの二大映画賞であるリュミエール賞とセザール賞で新人賞を受賞した。2015年の第68回カンヌ国際映画祭でもオープニングを飾るなど、大きな注目を集めた話題作だ。

鮮烈なデビューを飾ったこの作品との出会いを、パラドさんは次のように語った。「高校生だった時、ある女性から「映画に興味ない?」と声を掛けられてオーディションを受けることになりました」

その後、数十回に及ぶオーディションを経て、共演者のブノワ・マジメル、サラ・フォレスティエ、カトリーヌ・ドヌーヴといったフランスを代表する名優たちとのテストを実施。マロニーを更生させようと粘り強く接する判事を演じたドヌーヴとは、初めて会った時、気さくに声を掛けてくれたことで打ち解けたという。「カトリーヌ・ドヌーヴという女優ではなく、1人の女性の中にある愛情を感じ取ったような気がします。それが、マロニーと判事の関係に現れているのではないでしょうか。」

FFF Japon2016_La Tete haute_photo 2感情を剥き出しにするマロニーと同じ人とは思えない、落ち着いた受け答えを見せるパラドさん。入念な準備の跡が窺える役作りについては、2カ月間、コーチについて徹底的に脚本を読み解く努力をしたと明かしてくれた。「セリフが自分の中になければ、撮影現場で自由に演技ができないと思ったからです。セリフが入っていたからこそ、現場で感情を出すことができました。あとは、エマニュエル・ベルコ監督の指示に従ったたけです。」

新人らしからぬ堂々とした発言からは、既にスターの風格も滲む。マロニーは暴力を振るう場面も多いが、「暴力シーンは、最初の撮影で最もテンションを上げてから、少しずつ下げてゆくやり方で、演技をコントロールすることができました。」

FFF Japon2016_La Tete haute_photo 4とはいえ、自らを社交的で優しい性格だと分析するパラドさんは、暴力シーンに苦労したらしい。マロニーと恋人の少女のラブシーンでは、「あの場面では女の子に対して暴力的に振る舞わなければならないので大変でした。セックスというよりレイプのようだったので、非常に抵抗がありました。」さらに、妊婦を蹴飛ばす場面では、「あのシーンは、最も感情的にハイになり、その後、なかなか元に戻れませんでした。」

こうして観客を圧倒する演技を披露したパラドさんに対する期待は高く、フランス国内では往年の大スターを引き合いに「アラン・ドロンの再来」とも呼ばれている。そのアラン・ドロンにも会ったことがあるそうで、「彼のようなキャリアを積んでいければいいですね。」と語った。

鮮烈なスクリーンデビューからまだ1年。これからもっと学んでいきたいと意欲的なパラドさん。「自分以外の人間になれる俳優という職業はとても魅力的です。全身全霊を捧げて、人に感動を与えられるようになりたいです。」という力強い抱負に、客席から惜しみない拍手が贈られた。

『太陽のめざめ』は8月より、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。フランス映画界期待の新星が大女優とがっぷり四つに組んだ力作を、ぜひ劇場で見届けてほしい。

(取材・文:井上健一、 撮影:白畑留美、明田川志保)
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