レポート

【レポート】6/26 『めぐりあう日』

FFF Japon2016_Je vous souhaite detre follement aimee_QAsession photo 26月26日(日)、有楽町朝日ホールで『めぐりあう日』が上映された。終了後にはウニー・ルコント監督によるトークショーが行われ、客席から寄せられる数々の質問に答えてくれた。

本作はルコント監督にとってデビュー作『冬の小鳥』(09)以来、6年ぶりとなる長編第2作。大きな拍手に迎えられたルコント監督はまず、「前作の時も日本のお客様には大変温かい歓迎を受けました。またお会いできて大変嬉しいです」と挨拶した後、客席からの質問に答える形で、映画制作の舞台裏を語ってくれた。

親に捨てられた子どもが主人公だった『冬の小鳥』に対して、続編ではないものの、本作では親に捨てられた女性と実母が30年の時を経て再び巡り会う姿が描かれる。

「前作でも捨てられた子どもを描いていますが、それから30年後、捨てた側と捨てられた側の人生にどんな影響が現れているのかを描きたいと思って製作したのがこの映画です」

FFF Japon2016_Je vous souhaite detre follement aimee_QAsession photo 4脚本は、『11.6~最強の現金強奪犯』(13)などにも参加した脚本家アニエス・ドゥ・サシーと共同で執筆。議論を重ねた末、主人公エリザの職業がちょっと珍しい“理学療法士”に決まったきっかけは、個人的な体験だった。

「私自身が患者として接骨院に通った時、母親が子どもを抱くような姿勢で行なう施術を受けました。それが気持ちの上でも身体的にも、大きなインパクトがあったので、そのイメージを取り入れたいと思ったのです。ただ、接骨院はあまりポピュラーではなかったので、理学療法士にしました」

こうして決まった理学療法士という設定には、様々なニュアンスが含まれることに後から気付いたという。

「生まれてすぐ捨てられるというショッキングな体験をして、看護師や保育士など次々に人手へと渡って行ったエリザにとっては、肌を触れ合うという行為は重要な意味を持ちます。仕事として施術しながら、人と肌を触れ合うことで、捨てられたトラウマを乗り越えるという象徴的な意味も含まれると考えました」

エリザを演じたのは、フランス映画祭や東京国際映画祭で上映された『魂を治す男』(13)、『ワイルド・ライフ』(14)、『ジェロニモ ― 愛と灼熱のリズム』(14 / フランス映画祭2014で上映)など国際的に評価の高い数々の作品に出演し、進境著しい女優セリーヌ・サレット。ルコント監督も彼女の出演作を見た上で「存在感が抜群だった」と実力を認め、「エリザ役は他にいないと思いました。シナリオを送ったところ、気に入ってもらえたのでカメラテストもなしで決めました」とベタ惚れだった様子。その結果についても、「今までやっていなかったような役柄で、抑え目ながらも存在感はあるという演技が光っています」と満足そうに語った。

そして、繊細なドラマに彩りを添えるのが音楽。場面としては多くはないものの、ピアノを中心とした楽曲が効果的に使われている。シナリオ執筆中から音楽が重要だと考えていたルコント監督は、その想いを「この映画を人間の身体に例えるなら、音楽は血液」と表現。作曲家には、「それぞれ人に言えない秘密を抱えて生きている登場人物たちの内面を表現したい」という意図から、レバノン生まれのイブラヒム・マーロフを起用した。

FFF Japon2016_Je vous souhaite detre follement aimee_QAsession photo 3さらに、その作曲方法も一風変わっていた。事前に映画の内容を説明してディスカッションを重ねた上で、最初の編集が終わった映像を持ってルコント監督が彼のスタジオを訪れる。

「その映像を見ながら彼がピアノの前に座って、その場で作曲しました。ある程度メロディーは頭にあったようなので、即興ではありませんが、そこでできた曲に後から他の楽器を加えて、音楽を作って行きました」

ルコント監督は最後に、「Je vous souhaite d’être follement aimée(あなたが狂おしいほどに愛されることを、わたしは願っている)」という長い原題について説明。これは作家アンドレ・ブルトンの著書『狂気の愛』に出てくる手紙の一節で、劇中でもその手紙の朗読が、印象的に用いられている。

『めぐりあう日』は7月30日(土)より岩波ホール他、全国順次ロードショー。ウニー・ルコント監督入魂の長編第2作を、ぜひ劇場で味わってほしい。

(取材・文:井上健一、 撮影:白畑留美)

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