レポート

【レポート】6/27 『エヴォリューション』

FFF Japon2016_Evolution_QAsession photo 26月27日(月)、有楽町朝日ホールで『エヴォリューション』が上映された。終了後にはルシール・アザリロヴィック監督によるトークショーが行われ、客席からの質問に答えてくれた。

拍手に迎えられて登壇したアザリロヴィック監督はまず、「こんないい天気の日に、わざわざこんな暗い海の映画にお越しいただき、ありがとうございます」とユーモアを交えて挨拶。ミステリアスな映画の余韻に覆われた会場を和ませた。

子どもと母親だけが暮らす謎めいた小島が舞台の本作は、森の奥で暮らす少女たちを描いた『エコール』(04)に次ぐアザリロヴィック監督の長編第2作だ。本作製作の動機を「母親と一緒に病院に行く男の子のイメージが最初に頭にあり、その母親と少年の関係を描きたかった」と語るアザリロヴィック監督は、『エコール』との関係を次のように明かした。

FFF Japon2016_Evolution_QAsession photo 4「この作品については、『エコール』より前から構想を練っていました。変な言い方ですが、『エヴォリューション』があったから、『エコール』が生まれたということになります」

そんな両作品に共通するのは、いずれも子どもの視点で描いているということだ。

「10歳から11歳ぐらいの子どもは、まだ思春期前で感性や想像力が豊かです。大人に従わなければならないけど、強い感情を持っている。そんな子どもたちの感情を表現したかったのです」

出演者には演技経験豊富な子は避け、できるだけ自然な演技ができる子を選んだという。その起用が見事に当たり、劇中で緊迫感たっぷりの演技を披露している子供たちだが、監督としては苦労も多かった様子。

「元気いっぱいな子供たちを撮影に集中させて、退屈させずに演技させることが一番難しかったです」。

一方、本作の大きな特徴として挙げられるのが、陰影を強調し、独特の色使いで海中や自然の風景を捉えた映像美。アザリロヴィック監督の言葉によると、映像面で重視したのは「テクスチャー、映画の触感」だという。撮影監督を務めたのは、ベルギー出身のマニュ・ダコッセ。本作の他に撮影を担当した作品としては、『煽情』(09)がDVDリリースされている。

「まだ若いですが、大変良い仕事をしてくれました。海の中も美しすぎないように、汚れも撮りたかったので、彼と話し合って進めました」

監督からは構図の参考として、1960年代の若松孝二や大島渚、中川信夫の『地獄』(60)などの作品を研究するように伝えたという。

FFF Japon2016_Evolution_QAsession photo 6また、映画祭公式サイトやチラシの作品紹介には、映画監督のデヴィッド・クローネンバーグを引き合いに本作を評する一節もあることから、その辺りに興味を引かれた観客も多かったよう。他の作品からの影響については「直接影響を受けたというわけではありませんが」と前置きした上で、ナルシソ・イバニエス・セラドール監督の『ザ・チャイルド』(76)、デヴィッド・リンチ監督の『イレイザーヘッド』(76)、チェコアニメの第一人者 ヤン・シュヴァンクマイエルの名前を挙げた。

『エヴォリューション』は、2016年11月に渋谷アップリンク、新宿シネマカリテほか全国順次公開。独特の映像美とミステリアスな物語が印象的なこの映画を、ぜひ劇場で味わってほしい。

(取材・文:井上健一、 撮影:白畑留美)

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