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レポート

【レポート】6/27『EDEN エデン』

2015.6.28

AMG_1737S有楽町朝日ホールで6月27日(土)、『 EDEN エデン 』が上映され、主演のフェリックス・ド・ジヴリさんと、本作のミア・ハンセン=ラヴ監督の兄であり、共同脚本を務めたスヴェン・ハンセン=ラヴさん が終映後にトークショーを行った。フランスでエレクトロ・ミュージックが急速に広がった1990年代にDJとして歩み始める主人公の栄光と挫折を描く本作には、実際にDJとして活躍したスヴェンさんの経験が色濃く反映されている。そんなスヴェンさんならではの当時の音楽に対する考え方や、映画の持つメッセージ性が伝わるトークが展開された。
23歳の若者らしいラフなスタイルで登壇したフェリックスさんと、落ち着いた物腰のスヴェンさん。司会を務めた飯星景子さんを交え、観客からの質問にテンポよく答えていった。

AMG_1663Sまず、主人公ポールの10年にわたる変遷を演じたことについて、年齢の幅を表現する難しさを問われたフェリックスさん。「モデルのスヴェンさんがそんなに年ではないし、ポールを演じるにあたっても、それほど問題は感じなかった」と振り返り、「ミア(・ハンセン=ラヴ監督)とも、メイクで年をとったように見せることは止めようと決めていました」と明かした。

AMG_1666Sそんなポールという役柄に対して、スヴェンさんには「なぜ自身の人生をモデルにシナリオを書こうと思ったのか?」という質問が飛んだ。すると、まず「この映画は私の人生を語るために作られたものではありません」と誤解を解いたスヴェンさん。「もともとミアが音楽と90年代の若者たちについての映画を撮りたいと考えていて、はじめ私は彼女に当時の思い出やエピソードを語っていただけでした。それから次第に、一緒に脚本を書いていくことになったのです」と説明した。

AMG_1697S妹のミアさんとは、「文学の嗜好が似ている」そうで、映画の終盤に登場するアメリカンの詩人ロバート・クリ-リーによる詩についても、スヴェンさんがミアさんに影響を及ぼした。「ミアとこの詩人のことを話したことがあって、それをシナリオ執筆中に彼女が思い出しだのだと思います。なぜならあの詩は、映画で扱っているさまざまなテーマに合致していたから。たとえば“過ぎゆく時”というテーマはミアが何度も扱っているもので、“リズム”というのは、音楽はもちろん、変わりゆく人生のリズムという意味でもあります」

AMG_1772Sさらに観客からは、今再び盛り上がりを見せるディスコミュージックとスヴェンさんが活躍した90年代の違いに関する質問が上がった。スヴェンさんは、「当時このようなクラブミュージックを聴いていた若者は非常に少なく、彼らは新しい音楽を発見したと思っていました。今の若者たちは、いろんな種類の音楽を聴いていて、それらのルーツが昔にあることを知っています。でも私たちにとっては、それは非常に新しいものだったのです」と回想。さらに、この映画がフランスの文化を紹介しつつ、アメリカ文化をフランスに啓蒙する役割も果たしていると指摘されると、「フランスとアメリカのつながりによって生まれた音楽であるフレンチタッチを紹介する映画でもあります」と述べた。「フランスには昔から、アメリカ、特にジャズやソウルやブルースといった黒人音楽に対する根強い愛がありました。この映画はそういうフランスの伝統を表しているとも言えるし、2つの伝統の絆がいかに美しいものかということを示している映画でもあると思います」

AMG_1717Sフェリックスさんは俳優以外に、音楽レーベルを持ち、イベントの企画やアパレルのブランドを立ち上げるなど、多彩な才能を持っている。今後のキャリアについて聞かれると、「フランスではすぐ、役者、監督、演出家と枠にはめたがります。きっと税金の関係でその方がいいのかもしれませんが(笑)、私はまだ若いので、いろんなことに挑戦していきたい」と23歳らしい発言が飛び出した。前途洋々で、ある意味「成功者」のフェリックスさんにとって、夢を追いつつ、現実の苦しさと向き合わざるを得なくなる主人公はどのように映ったのだろうか。観客から意見を求められ、「私はこれを成功と失敗の映画だとは考えていません」と答えたフェリックスさん。「人は日々失敗を繰り返しています。自分の行動について、社会が成功だ、失敗だとジャッジしても、大事なのは自分の目的に向かってどこまで突き進んでいけるかということだと思います」と持論を展開した。

AMG_1667S本作への出演を機に、映画の世界ともつながっていきたいというフェリックスさんに対し、「自分がやりたいことは文学」と映画の仕事を続ける気持ちはないというスヴェンさん。そんな2人が貴重なコラボレーションを果たした映画『EDEN エデン』は、今年9月より新宿シネマカリテほか、全国順次公開される予定だ。

(取材・文:新田理恵、撮影:白畑留美)

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