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たそがれの女心

Madame de…

クラシック

設立120周年を迎えた仏ゴーモン社。そのラインナップから珠玉の1本を上映!

作品情報

フランスの大手映画会社ゴーモンは2015年、設立120周年を迎え、現存する映画会社では最長の歴史を誇ります。ゴーモンの歴史はフランス映画史そのものと言っても過言ではないでしょう。その珠玉のラインナップから、とっておきの1本を、フランス映画祭2015で上映します。

舞台は1900年、ベル・エポックの華やかなパリ社交界。賭けでつくった借金を返済するために、ある貴婦人マダム・ド…は夫の将軍から贈られたダイヤの耳飾りを無くしたことにしてひそかに売ってしまう。新聞で紛失事件を知った宝石商から連絡を受けた将軍は耳飾りを買い戻し、自らの愛人に餞別として贈る。耳飾りは将軍の愛人の次にドナティ男爵の手へと渡った。そして男爵はマダム・ド…と恋に落ち、彼女にこの耳飾りを贈る…。ダイヤの耳飾りをめぐり、運命の歯車にもてあそばれる上流階級の男女の人間模様を、流麗なカメラワークで描く大家マックス・オフュルスによるメロドラマの傑作。主演は特筆すべき美貌と存在感でフランス映画史を彩りつづけるダニエル・ダリュー。フランス映画の黄金期のみならず、近年もフランソワ・オゾンの『8人の女たち』(02)やパスカル•トマ『ゼロ時間の謎』(07)に出演するほか、マルジャン•サトラピ『ペルセポリス』(07)では声優に挑戦するなど、意欲的なキャリアで知られる。『たそがれの女心』では彼女の全盛期の香り立つような魅力が堪能できる。

フランス・パリでは、アートスペース「サン・キャトル」にて、ゴーモン社の大回顧展「120 ans de cinema : Gaumont, depuis que le cinema existe (映画の120年:ゴーモン、映画誕生から今日まで)が8月5日まで開催中。

監督:マックス・オフュルス
出演:ダリエル・ダリュー、シャルル・ボワイエ、ヴィットリオ・デ・シーカ
1953年/フランス/95分/DCP/スタンダード/モノクロ
※デジタルリマスター上映
提供:アンスティチュ・フランセ パリ本部

受賞歴
1954年 アカデミー賞®最優秀衣装賞ノミネート

© 1953 Gaumont (France) / Rizzoli Films (Italie)

監督・キャスト
監督プロフィール
監督: マックス・オフュルス

Max OPHULS
1902年、ザールブリュッケン生まれ。
ドイツ映画界で脚本・監督を手がけたのち、33年にフランスに亡命。以降、フランスやアメリカで『忘れじの面影』(48)、『輪舞』(50)、『快楽』(52)などの恋の物語を、流麗な演出で描いた。ダニエル・ダリューをはじめ、ヒロインの魅力を存分に引き出す作風から、女性映画の巨匠とも言われる。1957年に死去。

出演者プロフィール
出演: ダニエル・ダリュー

Danielle DARRIEUX
1917年生まれ。
フランス映画界を代表する美人女優。『うたかたの恋』(36)、『赤と黒』(54)などの文芸作品の数々で、高貴な古典的美貌の裏にひそむ恋心を見事に表現した。近年も、フランソワ・オゾン監督『8人の女たち』(02)、長編アニメ『ペルセポリス』(07/声の出演)などの意欲作に出演。映画本数は110本を超え、フランス映画史を彩る存在である。

出演: シャルル・ボワイエ

Charles BOYER
1899年、南フランス生まれ。
ソルボンヌ大学で哲学を専攻、コンセルヴァトワールで演劇を志し、その後映画に進出。イングリッド・バーグマン主演の『ガス燈』(44)、『凱旋門』(48)をはじめ、米仏映画界で数多くの名女優と共演し、典雅な二枚目俳優として人気を博した。ダニエル・ダリューとは『うたかたの恋』(36)以来の再共演。1978年死去。

出演: ヴィットリオ・デ・シーカ

Vittorio DE SICA
1901年生まれのイタリア人。
俳優としてキャリアを始め、40年代以降は映画監督として『自転車泥棒』(46)、カンヌ映画祭グランプリ受賞作『ミラノの奇蹟』(51)、『ひまわり』(70)などの名作を手がける。後年も俳優として『武器よさらば』(57)、『ロベレ将軍』(59)など数多くの映画に出演し、イタリア伊達男らしい渋い魅力で映画ファンを魅了した。1974年死去。

ニュース

【レビュー】『たそがれの女心』

2015.06.15

12-MADAME-DE_main流麗なカメラワークで綴られる女性を主人公にしたロマンティックな物語。
マックス・オフュルス作品を一言で表現すると、こうなるだろうか。
『たそがれの女心』(53)は、生涯を通じて20数本の映画を残したオフュルスが遺作『歴史は女で作られる』(56)の前に手掛けた後期の作品である。20世紀初頭のパリ社交界を舞台に、一組の耳飾りに運命を翻弄される女性を描いたメロドラマだ。

オフュルス作品最大の特徴は、何と言っても“流麗なカメラワーク”だろう。本作を例に説明すると、全編の大半を移動撮影による長回しのショットで構成。人物の動きに合わせて縦横無尽にセットの中を動き回るカメラは、ダンス場面では人々の間を巧みにすり抜け、時には建物の1階から2階まで移動。しかも、その動きは流れるようにスムーズで、上品なムードを引き立てる。美しい音楽も手伝い、まさに“流麗”という言葉が相応しい映像は、見る者の心を捉えずにはおかない。

とはいえ、華やかな上流階級の世界を描きながらも、作品には一抹の寂しさや儚さもつきまとう。そこには、オフュルスが歩んだ波乱の生涯が投影されているように思う。1902年、ユダヤ系ドイツ人として生まれたオフュルスは、新聞記者、舞台俳優を経て舞台演出家として活躍。30年に映画監督としてデビューしたものの、ナチスの台頭を嫌って33年にパリに移住する。やがてフランスに帰化するが、40年代は戦火を避けてハリウッドへ。終戦からしばらく経った50年にパリへ戻り、『たそがれの女心』を含む4本の作品を発表した後、57年に54歳で他界した。

12-MADAME-DE_sub110代の多感な時期に第一次世界大戦を経験。演劇や映画で才能を発揮し始めたところで再び戦火に巻き込まれ、祖国を離れて仏、米を転々とする生活は、彼の人生観に多大な影響を与えたに違いない。それゆえか、本作を始め、『輪舞』(50)、『快楽』(52)など、パリ帰還後の作品からは、“幸せは永遠には続かない”という人生に対する諦観とも取れるメッセージが滲み出す。と同時に、それが作品に豊饒な味わいをもたらし、単なるメロドラマとは一線を画している。

主演は、日本でも人気を集めたフランスの大女優ダニエル・ダリュー。1917年生まれの彼女は、98歳にしていまも健在。近年でも『ゼロ時間の謎』(07)などに出演してその存在感を発揮し、2009年にはシネマテーク・フランセーズで大特集が組まれた。本作ではエレガントな大人の表情の中に少女のような純真さを秘めた美しさを堪能できる。共演陣も、夫役のシャルル・ボワイエに加え、『自転車泥棒』(48)などで映画監督として知られるヴィットリオ・デ・シーカが不倫相手を演じる豪華な顔ぶれ。流麗なカメラワークを実現した撮影監督クリスチャン・マトラとは、パリ帰還後の全作品で組んだ名コンビ。ダニエル・ダリューも『歴史は女で作られる』を除く同時期の全作品に出演しており、まさにオフュルスの魅力が詰まった1本と言えるだろう。

(文・井上健一)

『たそがれの女心』作品情報
Madame de…
監督:マックス・オフュルス
出演:ダリエル・ダリュー、シャルル・ボワイエ、ヴィットリオ・デ・シーカ
1953年/フランス/95分/DCP/スタンダード/モノクロ
※デジタルリマスター上映
提供:アンスティチュ・フランセ パリ本部

© 1953 Gaumont (France) / Rizzoli Films (Italie)

開幕は驚異的ヒット作『エール!』。フランス映画史の至宝、ダニエル・ダリュー主演作も上映決定!

2015.04.29

23回目を迎えるフランス映画祭。本国で動員700万人超えの大ヒットを記録した、笑いと涙の家族賛歌、笑って、泣ける、最高に愛おしい映画『エール!』で今年の映画祭が開幕します!

そして、フランスの大手映画会社ゴーモンは2015年、設立120周年を迎えます。フランス映画史そのものと言っても過言ではない珠玉のラインナップから、特筆すべき美貌と存在感でスクリーンを彩りつづけるダニエル・ダリューの魅力があふれる『たそがれの女心』の上映も決定しました。デジタルリマスター版でその魅力がスクリーンに鮮やかに甦ります。どうぞお見逃しなく!

 

『エール!』 原題:La famille Bélier

lafamiilebelier監督:エリック・ラルティゴ

出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノ

2014年/フランス/105分

配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム

フランスの田舎町。農家を営むベリエ家は、高校生のポーラ以外、父も母も弟も聴覚障害者。陽気な母、熱血漢な父とおませな弟。オープンで明るく、仲のいい家族だ。ある日、ポーラの歌声を聴いた音楽教師はその才能を見出し、パリの音楽学校のオーディションを受けることを勧める。夢に胸をふくらませるポーラだったが、彼女の歌声を聴くことができない家族は彼女の才能を信じることもできず大反対。ポーラは悩んだ末に、夢を諦める決意をするのだが・・ ポーラの夢と家族への愛を乗せた奇跡の歌声が観客を魅了し、驚異の大ヒットを記録した感動作。

La Famille Bélier © 2014 – Jerico – Mars Films – France 2 Cinéma – Quarante 12 Films – Vendôme Production – Nexus Factory – Umedia

 

『たそがれの女心』 原題:Madame de…

madame+c監督:マックス・オフュルス

出演:ダリエル・ダリュー、シャルル・ボワイエ、ヴィットリオ・デ・シーカ

1953年/フランス/95分 ※デジタルリマスター上映

 華やかなりしベル・エポック期のパリ。ある将軍の妻が浪費の末につくった借金に困り、夫から贈られた耳飾りを、オペラ座でなくしたことにして売ってしまう。耳飾りは夫から愛人、そしてイタリアの男爵を経て、男爵と道ならぬ恋に落ちた将軍の妻の手に戻るが…。ダイヤの耳飾りをめぐり、運命の歯車にもてあそばれる上流階級の男女の人間模様を、流麗なカメラワークで描く名匠マックス・オフュルスによるメロドラマの傑作。戦前から21世紀に至るまで、その美貌と存在感でフランス映画史を彩る女優・ダニエル・ダリューの魅力を堪能できる作品。


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