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夜、アルベルティーヌ

L'Astragale

30歳を前にこの世を去った伝説の女性が綴った、情熱のクロニクル

作品情報

アルベルティーヌ・サラザンの自伝的小説「アンヌの逃走」(1965年)の映画化。19歳のアルベルティーヌは刑務所の壁を越えて脱走するが、足首を骨折してしまう。偶然通りかかったチンピラのジュリアンに救われ、パリの部屋に匿われる…。1950年代末、アルジェリア戦争下の不穏な空気が漂うパリを舞台に描かれる痛切なラブストーリー。鬼才フィリップ・ガレルの元妻であり、女優としても活躍するブリジット・シィの監督第2作。ともにジャック・オーディアールの『預言者』に出演したレイラ・ベクティとレダ・カテブが共演。

監督:ブリジット・シィ
出演:レイラ・ベクティ、レダ・カテブ、エステル・ガレル
2014年/フランス/97分/DCP/スコープ/ドルビー5.1/モノクロ

(c) DR

監督・キャスト
監督プロフィール
監督: ブリジット・シィ

Brigitte SY
1956年、フランス・パリ生まれ。
1979年、女優デビュー。『自由、夜』(83)を皮切りに私生活でもパートナーであったフィリップ・ガレル監督の5本の作品へ出演。『恋人たちの失われた革命』(05)では、息子ルイ・ガレルとの共演を果たす。また、演出家として刑務所での演劇活動に10年以上参加。そこでの経験を元に、08年には短編映画を、09年には長編映画第一作を監督した。

© DR

出演者プロフィール
出演: レイラ・ベクティ

Leila BEKHTI
1984年生まれ。アルジェリア系フランス人。
2005年の女優デビュー以来、『パリ、ジュテーム(<セーヌ河岸>)』(06)、『預言者』(09)、『よりよき人生』(10)など、話題作に次々と出演。11年にはセザール賞有望新人女優賞を受賞し、翌12年には主演女優賞にノミネートされるなど、フランス映画界において今最も注目の若手女優の一人。

©uniFrance Films/Emanuele Scorcelletti

出演: レダ・カテブ

Reda KATEB
1977年生まれ。アルジェリア系フランス人。
俳優一家に育ち、TVシリーズでデビュー。『預言者』(09)で準主役に抜擢され、注目を集めた。その後、ジャンルの異なる作品に多数出演し、今年のセザール賞では助演男優賞受賞するなど、確かな演技力を披露してきた。2015年5月下旬日本公開予定の『涙するまで、生きる』にも出演し、ヴィゴ・モーテンセンとの競演が話題を呼んでいる。

©uniFrance Films/Matias Indjic

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ニュース

【レビュー】『夜、アルベルティーヌ』

2015.06.15

6-L'ASTLAGALE__main枝葉をかき分け、泥だらけになりながら、夜の闇の中を女性がひとり這う。やっと道路に頭を出すと、車のヘッドライトの光が汚れた彼女の姿を照らす。主人公の境遇を端的に表したシーンで『夜、アルベルティーヌ』は幕を開ける。

アルベルティーヌ・サラザン。1960年代、フランスの文壇に突如現れた女性だ。エキゾチックで個性的な容貌の下に隠された彼女の素性はかなり特異で、29歳という若さで死去するまでに、売春、窃盗、服役、脱獄を経験する波瀾万丈でハードな人生を送っている。本作は、66年の『ある日アンヌは』に続き、彼女の自伝的小説「アンヌの逃走」を映画化した2本目の作品である。

6-L'ASTLAGALE_sub11957年、強盗の罪で収監されていた刑務所の塀を乗り越えて脱走した19歳のアルベルティーヌは、着地に失敗して足首を骨折してしまう。そこで偶然彼女を救う男、ジュリアン。彼もまた堅気の人間ではない。互いが持つアウトサイダーの空気に惹かれ合ったのか、愛を交わすようになる2人。そんな普通ではない出会いから、その後の約1年間の生活を中心に映画は描いていく。

世界各地の植民地で独立戦争が勃発し、政治的にも不安定だった当時のフランス。警察の目におびえて暮らす主人公たちの周りにも常に不穏な空気が漂うが、そこには同時に、フランス映画好きにはたまらないエスプリも満ちている。当時急激に増えたアフリカ大陸からの移民とおぼしき黒人男性が踊るダンスホール、質素ながら独自のスタイルを持ったアルベルティーヌのファッション、安いワインと紫煙が似合う街角の小さなカフェなど、モノクロで撮られた世界は雰囲気満点。社会の底辺で蠢く人々に焦点を当てながらもどこか瀟洒で、フィリップ・ガレルの元妻で女優でもある監督ブリジット・シィのセンスがうかがえる。アルベルティーヌの“悪友”役を監督の娘エステル・ガレルが好演し、短いながらもインパクトある役柄で息子ルイ・ガレルが登場するのも見所だ。

6-L'ASTLAGALE_sub2孤児院で育ち、養父母の元で愛に飢えた子供時代を送ったというアルベルティーヌ。10代にして刑務所に収監され、28歳で著書が世に出るまで、一生の大半をやくざな道に生きた彼女にとって、彼女を闇から連れ出したジュリアンは唯一本当の愛を育んだ相手だったに違いない。その運命の出会いと2人のはじまりの1年の煌めきを象徴するような海辺のシーンが美しい。実はたまらないキラキラが詰まった作品なのに、モノクロだなんて。その演出がまた心憎い。

(文・新田理恵)

『夜、アルベルティーヌ』作品情報
L’Astragale
監督:ブリジット・シィ
出演:レイラ・ベクティ、レダ・カテブ、エステル・ガレル
2014年/フランス/97分/DCP/スコープ/ドルビー5.1/モノクロ
(c) DR


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