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REPORT 2013.06.27

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6/24(月)『タイピスト!』(Populaire)トークショー



REPORT 2013.06.27

6/24(月)『母の身終い』トークショー



REPORT 2013.06.27

6/24(月)『椿姫ができるまで』トークショー



REPORT 2013.06.26

6/23(日)『黒いスーツを着た男』トークショー



REPORT 2013.06.26

6/23(日)『アナタの子供』トークショー



REPORT 2013.06.25

6/23(日)『ウェリントン将軍〜ナポレオンを倒した男〜(仮)』トークショー



REPORT 2013.06.23

6/23(日)『森に生きる少年〜カラスの日々〜』トークショー



REPORT 2013.06.22

6/22(土)『ローラ』トークショー



REPORT 2013.06.22

6/22(土)『わたしはロランス』トークショー



REPORT 2013.06.22

6/22(土)短編作品集より『からっぽの家』舞台挨拶



REPORT 2013.06.21

6/21(金)『遭難者(仮)』『女っ気なし(仮)』トークショー



REPORT 2013.06.21

『テレーズ・デスケルウ』レビュー



REPORT 2013.06.21

6/21(金)オープニングセレモニー、『In the House (英題)』トークショー



REPORT 2013.05.13

「フランス映画祭2013」ラインナップ&来日アーティスト発表記者会見




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6/22(土)『ローラ』トークショー



REPORT 2013.06.22

IMG_1297S.JPG 6月22日(土)、有楽町朝日ホールにて『ローラ』デジタル修復完全版を上映。この作品は"ヌーヴェル・ヴァーグの真珠"とも呼ばれ、後に『シェルブールの雨傘』などを手掛けるジャック・ドゥミ監督が1961年に発表した長編デビュー作である。2012年にデジタル修復されて蘇ったその美しい映像を、多くの観客が堪能。終了後には東京フィルメックス・プログラミング・ディレクターの市山尚三さんを聴き手に、批評家・秦早穂子さんのトークショーが開催され、『ローラ』とヌーヴェル・ヴァーグに関する思い出を語っていただいた。

IMG_1285S.JPG 秦さんは元々、映画配給会社に所属し、ジャン=リュック・ゴダールの長編デビュー作『勝手にしやがれ』の日本公開に尽力した人物。話はヌーヴェル・ヴァーグの代表作であるこの作品にまつわる裏話から始まった。
当時、パリに滞在していた秦さんは、『勝手にしやがれ』のプロデューサーであるジョルジュ・ドゥ・ボールガールから、「未完成で20分しかないが、ラッシュフィルムを見てほしい」と連絡を受ける。その映像に衝撃を受け、すぐさま買い付け(映画を配給する権利の獲得)を決定。さらに、作品が完成すると、「想像以上にすごいのができちゃって、(身体が)ブルったのを覚えています。カットしまくって、すごい編集になっていたから。」この作品が生んだ"ジャンプ・カット"などの編集方法は、今でこそ一般的だが、当時は常識破りの大胆な手法。初めてそれを目にした時の衝撃を、まるで昨日のことのように語ってくれた。
 
710A1288S.JPG そしてその1年後、『ローラ』に出会う。ジャック・ドゥミは無名だったが、作品には魅了されたという。ところが、買い付けはしなかった。「『勝手にしやがれ』で、個人的にゴダールを推して行こうと思っていたの。」そこで、ゴダールの第2作『小さな兵隊』に注目する。アルジェリア戦争の問題を扱ったこの作品は、日本でも当時の若者に響くものがあるのではないかと秦さんは考えていた。ところが、検閲によってその内容が問題視され、公開禁止になってしまう。やむなくこれを見送り、待った次回作が『女は女である』だった。ちょうど、秦さんが『ローラ』に出会ったのもこの頃。様々な事情から、両方を買い付けることができず「どっちにするか、もうすごく悩んだのね。さんざん悩んで結局、ゴダールに。」結局、『ローラ』が日本で公開されたのは、それから30年以上経った1992年。「あの時、個人的には『ローラ』に魅せられていたのね。だから、今回50数年ぶりに見るまでは、心の中で封印しちゃったんです。で、あの時代を思い返して、果たしてどうだったのかなと......。」もし、『小さな兵隊』が公開禁止にならず、ゴダールと『ローラ』が重ならなかったら......。長い間秘めていた複雑な心境を明かすように、当時を振り返った。
 
IMG_1290S.JPGさらに話題は『ローラ』という作品の意義にまで及んだ。アヌーク・エーメ演じるローラの存在感やラウール・クタールによるモノクロ映像の美しさが印象に残る『ローラ』だが、端々に当時の社会問題が織り込まれている。公開された1961年当時、フランスはアルジェリア戦争(植民地アルジェリアの独立を巡る戦争)の最中。また、未婚の母を巡る問題、道徳的に好ましくないとされた妊娠中絶の問題、アメリカに対する羨望の眼差しなど、登場人物たちは当時の社会背景を背負っている。さらにこれらの要素は、『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』といったドゥミの代表作にも受け継がれた。ミュージカル映画の作り手という印象が強いジャック・ドゥミだが、二重三重にも包まれたその奥底には、こういったメッセージが込められているという。
 
IMG_1302S.JPG最後に、ヌーヴェル・ヴァーグを現地で体験した秦さんならではの、現代の観客に向けた熱の籠った言葉でトークは締め括られた。「今では神話化されていますけど、50年前のヌーヴェル・ヴァーグというのは、みんなが格好良かったわけじゃなくて、現実的には若手から巨匠まで、新旧入り乱れた戦いでした。その背景にはアルジェリア戦争なんかがある。ただ、戦っている時にも情熱はあったと思うんです。だから、情熱は必要だと思うの。」
 
IMG_1288S.JPG50年以上も前のヌーヴェル・ヴァーグの様子を、まるで昨日のことのように語る秦さんのトークは、途切れることなく続いた。まだまだ話し足りない様子だったが、その貴重な体験は著書「影の部分」にも書かれている。興味のある方は、ぜひ読んでみてほしい。また、今回上映された『ローラ』デジタル修復完全版の国内公開は未定。ぜひとも、劇場で広く皆さんに"ヌーヴェル・ヴァーグの真珠"をご覧いただける機会が来ることを願ってやまない。
 
(取材・文:井上健一、撮影:白畑留美)
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